旧はまだやとは

旧はまだやの歴史と木更津

 
濱田屋とは、木更津市で江戸時代から続く複数の店舗を持つ商家の総称でした
本町通りに面して、砂糖を扱う「砂糖濱田屋」、陶器を扱う「瀬戸濱田屋」、糸を扱う「糸濱田屋」、呉服を商う「呉服屋濱田屋」、醤油を商う「醤油濱田屋」(これのみ駅前に存在していた)など、濱田屋店舗が軒を連ね、「濱田屋は商店街そのものだ」と言われるほどの活況を呈していました
 
この度、蔵-KURA-として復活したのは「砂糖濱田屋」
寛政2年創業の商店で、扱う商品は砂糖・鰹節・お茶・紙など
当主の姓から別名「梶本家」の名でも通り、系列の他店舗が廃業していく中でも昭和末期まで建物に大きな改変を加えることなく営業を続けていました
 
(「旧・砂糖濱田屋」はその後に看板などに使う屋号を「はまだや」に変更した為、呼称を「旧はまだや」としています)
 
 

本ページの内容は
渡邉義孝(一級建築士・尾道大学非常勤講師・木更津市史編集部会員)の監修の下行っています

旧はまだや配置図

 

道路側から建物を望見すると
左側から明治期の店蔵、昭和初期の洋風店舗、
奥の東端には大正期の石蔵と煉瓦塀が一望できる
 
いずれも当初の外観をほぼ維持しており
同一敷地内に複数の年代の建築物が揃って現存している大変貴重な一画である

SPOT

各世代の情緒残る建築物

明治の店蔵

 
旧はまだやに現存する建物の中では最も古い
江戸時代から続く濱田屋が店舗兼店蔵として建築したもの
 
木造土壁塗りの土蔵作りの二階建て
1階は土間と小上がり
2階は奥座敷がある

 

昭和の店舗

 
木造2階建て桟瓦葺きの商店建築
複雑な寄棟屋根や1階の格天井、2階のアールデコ風の意匠や下屋庇の緑色のスペイン瓦など見どころが多い
2階は中央に吹き抜けを設けている
今回の改修工事で天井現しにし、複雑な小屋裏が確認できる
 

 

大正の石蔵

 
かっては砂糖が保管されていた
内部も保管技術の面白い仕掛けがある
当時は門から石蔵まで軌道敷がありトロッコ運搬をしていたという
 
外壁は大谷石で積み上げている
モルタルの塗り擬石仕上が一部残存している

 

大正の煉瓦塀

 
イギリス積みで積み上げられており
北側の約2.2mの高さの煉瓦塀は上部がコーニス装飾である
西側・北側両方とも頂部をモルタルで勾配をとっている
 
煉瓦単体のサイズも現在のJIS規格のものより小振りである
 

 

GREETING

旧はまだや再生の話とご挨拶

「お世話になった地域の為に、
 この敷地建物を有効活用して頂きたい」
 
全ては梶本家のお声掛けから始まりました
 
平成29年に再生計画が始まり
途中で紆余曲折あり休眠期間があったものの
令和5年に計画が再始動
令和6年10月に蔵-KURA-として営業が始まりました
 
旧はまだやを後世に残すために
託して下さった梶本家の方々
保存活動に協力して下さった皆様方
見守ってくれた方々
本当にありがとうございます
 
旧はまだやは木更津のシンボルになると信じています
解体の憂き目にあわさない為に 
随分と暗い夜を過ごしましたが
素晴らしいこの建物を
漸く新しい人の集う場に出来ました
再生計画も次の段階に進みます
 
地域の貴重な建物を壊すことなく有効活用し
誇りのバトンを次世代に繋いでいく
木更津の地に根差す企業として 
自分の分野で出来ることを一歩づつ行っていきます
 
            株式会社キミツ鐵構建設
            代表取締役 松本信夫